「サンセット大通り」が描く愛と栄光を求めた女優の末路

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 一方、ギリスの才能を認める美女ベティ(ナンシー・オルソン)は彼に脚本を完成させて欲しいと要請。2人は深夜の事務所で原稿を書き始める。ノーマは嫉妬に狂い、ベティに嫌がらせの電話をかけるのだった……。

 人付き合いのない古い屋敷があると、中でどんな人間が何をしているのかが気になるものだ。本作はそうした謎の空間での若き脚本家と過去の栄光にすがる五十女の狂気じみた葛藤がテーマ。猿の死骸から屋敷の描写が始まるなど、ホラーの要素を含んでいるため、画面から目が離せない。

 ノーマは若い男の愛情を切望する。こうした熟女のご執心は歌謡曲や芸能ニュースの題材だ。森進一は「年上の女」で「放したくない つらいのよ」と歌った。13歳年下の夫に去られた小柳ルミ子に同情しながら「やっぱりこうなった」と呟いた人もいるだろう。

 女の愛憎と失望、栄光への執着は実にドラマチック。本作はその悲愴(ひそう)な断面を切り取り、意表を突いたラストになだれ込む。正気を失ったノーマを演じるG・スワンソンの表現力は怖いほどお見事。モノクロ映像の不気味さを際立たせている。

(森田健司/日刊ゲンダイ

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