満身創痍も…渡哲也が貫く“男が惚れる晩節”と裕次郎イズム
渡は1991年に直腸がんを公表し、人工肛門であることも明らかにした。2015年には急性心筋梗塞での大手術を2度受け、現在も肺気腫や喘息といった呼吸器系の持病を抱えている。ベテラン芸能記者の青山佳裕氏はこう言う。
「渡さんは毎朝散歩し、ご近所のたばこ屋さんやら八百屋さんに『よぉ』と気さくに声をかけられるのを日課にされていたのですが、最近はそれもできなくなり、ご自宅にこもりがちだそうです。外出は病院と仕事。その打ち合わせだかで、都内の高級イタリアンに酸素チューブをつけた姿で入るところも目撃されています。自分の体調より何より、石原プロのこと、所属の軍団たちのことを考え、死ぬまで裕次郎さんから継いだボスとして、彼らを食わしていかなければという信念なのでしょう。そういうところは、まさに裕ちゃんイズム。それを今も貫こうとしているのだと思います」
石原プロは、毎年正月に調布市の事務所に関係者一同が集まり、取材に訪れたマスコミにも1人1万円のご祝儀を渡していたことで知られる。
「もう随分前のことですが、軍団の若い後輩が出演のドラマだか舞台の打ち合わせのとき、たまたまそこを通りかかった渡さんは飲食代を全額持とうとされた。そこには大勢いて、5万円以上だったそうですけど、『まあまあ』と言って、請求書を持っていってしまったのだそうです。面倒見の良さ、男気、不屈の精神。裕次郎さんの名前のもと、スタープロダクションの生き残りでもある石原プロを、変な格好で幕引きしたくないのでしょう」(青山氏)
渡の筋の通った生きざまは、中高年になったファンをも勇気づけるに違いない。