負けず嫌いが演技の原動力 広瀬すずは生来の「体育会系」
その時は役柄と合わず、起用を見送ったが、18年公開の映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(東宝)で起用。同じ対談でこう絶賛した。
「集中力が途切れないというか、長い芝居を何度やっても役に入っているのは、飛びぬけた部分だなと思いました。あと、ずっとバスケをやってきたからなのか、全体を見渡すことができている」
彼女は大根のオーディションを落とされた以降、数々の映画・ドラマに出演。同世代の俳優たちと共演することも多くなった。それは学校に行くような感じで楽しかった。同時に、同じくらいの年齢なのに、自分よりはるかに演技がうまい人たちがいることに衝撃を受け、生来の負けず嫌いが刺激された。いつしかバスケで相手に負けたくないという思いを凌駕し、演技にのめり込んでいった。
15年には是枝裕和監督の映画「海街diary」(東宝・ギャガ)に出演し、その高い演技力が評価され、各新人賞を総なめ。翌年も、李相日監督の映画「怒り」(東宝)で新境地を切り開き、18年には坂元裕二脚本のドラマ「anone」(日本テレビ)でドラマファンにも鮮烈な印象を残した。
広瀬は「SUNNY」に起用された際、大根に「一緒にやるべきだ」と口説かれ、うれしかったと言う一方で「オーディションで落とされたことは忘れないぞ、と思ったけど」(同前)と笑う。広瀬すずは「スポ根」の主人公のように、常に「負けたくない」という思いが原動力になっているのだ。