たけしが師匠と慕った深見千三郎と浅草サンバの伴淳三郎
伴淳三郎も浅草の芸人を育て、街を盛り上げた功労者だ。「バンジュン」の名前でテレビや映画で親しまれて、ロック座の初代座長も務めた。
「なんといっても彼の功績は、浅草サンバを提唱したことでしょう。浅草観光連盟の歴史にも残っている。盛り場としての勢いに陰りが出始めた1960年代に、当時の台東区長から『伴さん、何か名物になる催し物を考えて』ってお願いされて、『サンバやりなさい。ブラジルのリオの有名な踊りで、街中で流しで歩けば、お客さんは喜ぶよ』って言ったんだ」
この浅草サンバカーニバルは、東京下町の風物詩となり、今年38回目を迎えた。
芝居小屋やストリップ劇場はなくなったが、浅草芸人の魂はいまもこの地に生きている。
(おわり)
▽まつくら・ひさゆき 1935年、長野県生まれ。中央大学卒業。68年、東洋興業社長に就任。「浅草演芸ホール・東洋館(旧『浅草フランス座』)」を率いる。2018年、「江戸まち たいとう芸楽祭」実行委員会顧問に。新著に「起きたことは笑うしかない!」(朝日新書)がある。