歌舞伎座やっと再開も閑散ガラガラ…松竹の悲鳴が聞こえる
役者や裏方の生活のためにも幕を開けなければならない事情も、行きたいけど今は行けないファンがいるのも分かるが、これでは幕を開ければ開けるほど赤字だろう。
この状態が「あと何カ月」と決まっているのなら、耐えられるかもしれないが、いつまで続くか分からないのでは、事業計画も立てようがない。
歌舞伎、松竹に限らず、すべての演劇がこういう状況にある。松竹は演劇会社の中では大きいし、歌舞伎座もタワービルにしたので家賃収入でどうにかなるのかもしれないが、それも限界があるだろう。
民間の松竹では手に負えない事態だが、国立劇場は、何もしていない(計画はあるのかもしれないが)。政府に歌舞伎を含めた演劇をどうするかというビジョンがあるとも思えない。「Gо Tо シアター」の必要性など話題にもならない。
再開はうれしいが、前途多難だ。ファンにはチケットを買うことしかできないのがもどかしい。
(作家・中川右介)