裕次郎さんの自宅から遺跡が…本人と石原プロ社員の神対応
その話をキャッチして“スクープ”として現場に様子を見に行ったら、声をかけてくれたのが、なんと裕次郎さん本人だった。普通、施主は発掘を嫌がるものだが、裕次郎さんはむしろ協力的で隠そうともしない。取材だと言うと、「中に入ったらいいじゃないか」と敷地に入れてくれ、経緯を説明してくれた。こちらが若造なのに丁寧に接してくれて、一発で大ファンになったものだ。
石原プロの社員もやってきて、「何か食べてもらわないと帰らせられない」と言われ、ごちそうにもなった。その後、幾度となく石原プロの取材に行ったが、何らかの食べ物が必ず振る舞われた。
後に石原プロの名物幹部、故・小林正彦専務に「なぜ、食え食えと言うのですか?」と尋ねたことがある。
「人間、腹いっぱいで怒る人はいないんだよ」
殺気立って集まる取材陣に落ち着いてもらって、要望になるべく応えようというわけだった。取材を通じて、そういった人間の機微、あやのようなものを教わった。
土器発掘のスクープを書かせてもらった時、僕は裕次郎さんのことを「我らがボス、石原裕次郎」と書いた。