「エール」音の妹と裕一の弟子が急接近…「露営の歌」秘話
ちょうどそのころ、古関は妻・金子と行った満州旅行を終え、大連から船で神戸に戻る途中だった。所属する日本コロムビアから、神戸まで行かないで、門司で下船して、下関から汽車の特急に乗って、できる限り早く東京に来てほしいとの電報を受け取る。
■汽車の中で何の気なしにつけた曲が大ヒット
古関は門司から下関にフェリーで渡り、東京日日新聞を広げると、懸賞募集の結果が載っていた。そこで古関の目を引いたのが第1位の「進軍の歌」ではなく、「勝って来るぞと勇ましく」と始まる第2位の「露営の歌」だった。東京行きの汽車の中で、古関は何の気なしにそれに曲をつけ、金子と2人で合唱した。
東京に着くと、古関はすぐにコロムビアに駆けつけた。ディレクターは「進軍の歌はすでに陸軍戸山学校軍楽隊が作曲しているので、露営の歌に曲をつけてほしい」という。古関が「もうできています」と答えると、ディレクターは大喜び。試聴すると、出来がものすごく良く、すぐに採用が決まり、「進軍の歌」をA面、「露営の歌」をB面とするレコードが発売された。