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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

ダーティーなイメージを覆した長谷川博己「光秀」の大義は

公開日: 更新日:

 とはいえ、クライマックスはやはり「本能寺」だ。これまでの大河では1965年「太閤記」以来、実に16回も描かれてきた。個人的には、73年「国盗り物語」の高橋英樹・信長、近藤正臣・光秀が印象深い。

 果たして、承認欲求の強い、褒めて褒めての染谷将太・信長がどんな最期を遂げるのか。「人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」とやるのかどうか。

「麒麟がくる」はこれまでの世間の明智光秀に対するイメージを大きく覆し、名誉挽回に一役買ったのでは。それもこれも明智を演じた長谷川博己から漂う知性と品の良さからくる。明智がただの裏切り者ではなく、麒麟がくる太平の世を求める理想主義者だったというのも、長谷川が演じればこそ、合点がいく。

 思えば、帰蝶役の沢尻エリカが麻薬取締法で逮捕され、出はなをくじかれ、さらに新型コロナウイルス感染拡大対策として、収録は一時休止、復活後も感染対策を万全にしての撮影と、これまでにない逆風のなかで最後までやりきったスタッフ&俳優陣の苦労は相当なもの。その思いが報われるためにも多くの視聴者に見てもらいたい。明智光秀の大義を見届けようではないか。

(コラムニスト・桧山珠美)

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