ライブハウスで壮絶な最期を遂げた故・南正人さんを悼む
フォーク、ロック、レゲエのシンガー、吟遊詩人、いやヒッピーと呼ぶのが一番ふさわしいかも知れない。同じ1944年生まれの南正人さんがコロナ禍の真っただ中、横浜市内のライブハウスで壮絶な死を遂げた(7日)。歌い始めて15分、ステージで倒れてドラマーの息子の腕の中で息を引き取ったという。享年76。合掌。
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南さんは、1960年代後半に世界の若者の間で広まったヒッピームーブメントの日本の草分け的存在でもあった。
この時代のヒッピーは東洋の哲学や宗教に共鳴し、反体制派思想や自然回帰思想など既成概念にとらわれない新しいカルチャーを生み出した。
ベトナム戦争(55年11月~75年4月)の反対運動にも関わり、日本各地にコミューン(運命共同体)がつくられた。
「手に武器ではなく、花束を」という合言葉とともにベトナム戦争の徴兵を拒否した米国の若者による「フラワームーブメント」も生まれた。
そんな時代にあって南さんは、東京外語大スペイン語学科在学中に欧州や北中米を放浪し、帰国すると弾き語りで自作のメッセージソングを歌うようになる。その当時から中川五郎、高田渡、友部正人、三上寛、中山ラビさんたち<中央線フォーク村の人々>と交流を深め、高石ともや、岡林信康さんと同じステージに立つこともあった。