著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

桂ざこば師匠の「楽屋トイレ掃除」エピソードには強い絆が

公開日: 更新日:

 朝丸時代(1963~88年)「ウィークエンダー」(日本テレビ系)のリポーターや、「キリンをいじめるんですな。熱い餅を食べさすんですな。首が長いからいつまでも熱い~熱い~言うとるんですな」といった“動物ネタ”の小噺で大人気だったざこば師匠。朝の情報番組「痛快!エブリデイ」(関西テレビ)で初めて構成者としてご一緒させていただきました。

 豪快で人情に厚く、涙もろい。実際に接すると、腰が低く、周囲にもよく気を配られる。本番中も喜怒哀楽がストレートで、政治家の不祥事などには、こぶしでテーブルを叩きながら熱く怒ったり、感動的な話になると涙を流されたこともしばしばでした。

 ある時、本番前の楽屋のトイレで個室のドアを開けて掃除しているざこば師匠と遭遇し、「なにかありましたでしょうか?」と尋ねると「なんもないよ、なんもないよ、ちょっと(便器)汚れとったさかい、流してるだけやから大丈夫」と言う。「後でスタッフに言っておきます……」と言いかけると「かめへん、かめへん、もうきれいになった。俺が汚したわけちゃうねんで、入ったら汚れてたさかいきれいにしとかんと“俺が汚した”ように思われるやんか。それでもええねんけど、(桂)米朝の弟子はトイレ汚してもそのままにしてると思われたら、師匠の名前に関わるがな。それは弟子として絶対やったらいかんことやから、これは俺が自分で掃除せなあかんねん。おおきにありがとう。もう済む(掃除が終わる)さかい、大丈夫やわ」と掃除をしながら語られたのです。

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