テラハ事件の本質について「トゥルーマン・ショー」が警告
大村秀章愛知県知事へのリコール署名の大半が不正で、バイト動員まで行われていた。常軌を逸した話だが、この背景には著名人やSNSの扇動を無批判に信じ込む「メディアリテラシー(読解力)」のない人々が増えている問題がある。
これは今や社会にとって実害を伴うもので、例えばトランプ氏の不正選挙陰謀論に流された人々は議事堂に乱入して死者まで出した。日本でも不正署名問題以外、例えば「TERRACE HOUSE TOKYO2019―2020」(フジテレビ系)の出演者・木村花さんが20年5月に亡くなった事件もその一つだ。
■悲劇はなぜ起きたのか
「テラスハウス」は、シェアハウスで暮らす若い男女の日常を観察するリアリティー番組。あるとき木村花さんが、自分のリング衣装を台無しにした男性入居者に対して罵倒したところ、逆に「悪いのはおまえだ」とネットで大炎上した。
彼女の本業は「観客を怒らせる」ことで称賛される女子プロレスのヒール(悪役)だったのだが、「台本なしのリアルドラマ」と信じ切っていた一部の視聴者にはそうした「お約束」は通じなかった。誹謗中傷はやまず、それが原因で彼女は死に追いやられたという。一体どこに問題があったのだろうか、番組側か、視聴者か……!?