木村花さん死去の悲劇…視聴者はフィクションへの認識欠如
(原田曜平/マーケティングアナリスト)
「テラスハウス」はいまの高校生、大学生にとっては中高年世代の“月9ドラマ”のような存在ですが、一番の違いは登場人物が俳優ではなく、あくまで一般人であるということ。もちろん、カメラに撮られてテレビで流れている時点で本当の意味でリアルではないし、そもそも「インフルエンサーになりたい」と思う人が応募していて、純粋な一般人とは程遠い。“リアル”ではなく、あくまで“リアリティーショー”というフィクションなのです。
ところが、制作側も過激な部分を切り取りがちで、かつ登場人物とSNS上でやり取りできるなど視聴者との距離が近い分、感情移入が進みやすく“共犯関係”に陥りやすい。木村花さんは当初、ピュアで愛嬌のあるキャラで人気が出ましたが、恋愛感情を抱いていた男の子が彼女のプロレス用のコスチュームを誤って洗濯して色落ちし縮んでしまったことに憤慨して感情を爆発させてしまった。この一件がきっかけでSNSでの中傷が加速してしまったのです。
ネットで叩かれることも有名税と割り切っている出演者もいますが、免疫がなかった花さんがその犠牲になってしまった悲劇といえます。