「シン・エヴァ劇場版」興収100億円も…何がすごいのか?
100人いれば、100通りの「エヴァンゲリオン」がある。それがこの「エヴァンゲリオン」という作品の魅力であり、恐ろしさだと感じる。理解したくて新作が公開されるたび足を運ぶが、理解しようとすることが”そもそもナンセンスである”といつもどこか打ちのめされた気持ちになる。モネやルノワールの印象派の絵のように、庵野秀明監督の頭の中の世界を、感じたままの世界を私たちはただ「見るだけでいい」。そういった言語化できない”ニュアンス”の力が、エヴァンゲリオンという作品には大きく働いていると感じるし、実際にそのような作品は後にも先にもエヴァだけだと思う。だからこそ「エヴァは単なるロボットアニメではない」という主張をはじめとする様々な論争や解釈を生み、それがエヴァの「神話性」にも繋がっているのではないだろうか?
■大人になることを受け入れる物語
かくいう筆者も、エヴァンゲリオンという作品には思い入れがあり、特に「破」は何度も映画館に通って見た。主人公のシンジやアスカ、綾波レイなどのエヴァパイロットは皆14歳の子供で、親の愛を知らず、孤独を抱えている。エヴァという作品に初めて出会ったのは10代の時で、とにかく私は主人公のシンジが嫌いだった。親に愛情を与えてもらえないことを言い訳にして、すぐ逃げようとするその弱さに腹が立っていたのだ。