麒麟・田村裕の“テンパり具合”が「コント55号」に重なる
前回、麒麟の“聞く耳”を持つ柔軟性について書きましたが、麒麟の魅力はあの伝説のコンビ「コント55号」とタイプが非常に似ていると私は思っています。
「コント55号」といえば、萩本欽一さんと坂上二郎さんの、「飛びます! 飛びます!」など、舞台狭しと動き回るドタバタコント。時にテレビカメラから“見切れて”しまい、「カメラが撮れる範囲で動かなければいけない」というテレビの常識を変えてしまいました。
一方、「麒麟」はおおむねセンターマイクを中心にしゃべる漫才。形はたしかに全く違うのですが、実は“ボケのツッコミいじり”が時としてボケに振り回され、気がつくとツッコミが“ボケ”の役割を果たしているところに同じにおいを感じてしまいます。
川島君が繰り出す言葉に振り回されながらも愚直に対応しようとする田村君がどんどんパニックになっていくさまは、漫才作家の私から見ると、萩本(欽一)さんが自由自在に坂上さんを“転がしている”スタイルと根本では同じに見えるのです。
萩本さんは以前「きっちりした台本はないの。(坂上)二郎さんに設定と役だけ伝えて、あとは僕がその時に感じたままをやって、二郎さんの自然発生的なリアクションを引き出すの。それが一番おもしろいから」と言われていました。