著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子が中日・不動のエース権藤博と夢見た結婚

公開日: 更新日:

 くだんの対談でこんなやりとりがある。

「さぁて本題の酒と女に入るとしましょう(笑)」

「怖い(笑)酒と女の話題になったら、先生と呼ばなきゃいかん」

「じゃ私も監督とお呼びします(笑)。やっぱり権藤さんもけっこうお遊びになったほうですよ。つぶさに見聞しておりますが、あれだけ遊んで投げるピッチャーっていうのも珍しかった」(「オール読物」1998年3月号)

 この権藤博こそ山口洋子と結婚寸前までいったFだったのだ。つまり“F”と書くことで“G”を隠したということだ。

 洋子の実父が2人の仲を取り持ったことはすでに触れた。実父に頼まれるがまま東京遠征の際「姫」を訪れた権藤は、マダムの洋子と意気投合。常連客になったばかりか恋に落ちた。ままよくあることではある。

 一方、筆者はこういう話も聞いた。かつて筆者と週に1度は必ず顔を合わせていた、プロ野球OBの証言である。

「権藤と山口洋子が知り合うたんは『姫』の前から。洋子が10代の若い身空で、名古屋でカフェを経営してたとき。実はその店がドラゴンズの選手のたまり場になっていた。だって俺も何度か行ってるもん。あの頃から2人はええ仲やったと思うねん」

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