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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

「本名の白羽秀樹では出られない。ましてや“城哲也”では絶対出られない」

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 この頃の沢村忠の心境はいかなるものだったのだろう。「この頃になると沢村さんも俳優の道は絶っていたと思う」と証言したのは、ジムメートでプロボクシング元東洋・日本ウエルター級王者の龍反町。俳優の反町隆史の芸名の由来となった人物である。

「沢村さんが俳優だったことはもちろん知っていたし、ジムで練習を始めた頃はまだ二足のわらじだったように思う。本当はずっとそのつもりだったのかもしれない。でも、キック一本にしようとこのときに決めたんじゃないのかね。だから沢村さんは懸けていたんでしょう。背水の陣って言うのかな、“もう、これしか道がない”といった具合にね」

 程なくして朗報が舞い込んだ。野口修が約3年もの間、手弁当で行ってきたキックボクシングのレギュラー放送が決まったのだ。=つづく

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