宮川大助・花子<2>「なんべん言うたらわかんねん!」と花子さんをスパルタ指導
普段、本当に仲が良く、花子さんが大助さんをからかい、それをうれしそうに受け入れる大助さんを見ているだけに、あまりのギャップに驚きました。「仕事モードのギアが入ると人が変わる」というのはこういうことなんだと、7年近い入院・療養生活からいきなりこの世界に飛び込んだばかりの私はあっけに取られてしまいました。
その翌年、縁あって私は阪神・巨人さんのブレーンに就かせていただくことができ、打ち合わせで「うめだ花月劇場」の楽屋に行くと、出番終わりの大助さんが「なんべん言うたらわかんねん!」と花子さんを一喝。「ごめんなさい」「ごめんで済んだら警察もなんもいらんわ! 屋上行って練習してこい!」。花子さんは「行ってきます」と涙目で楽屋を出ていかれたことがありました。
あまりの勢いに楽屋にいらした方が「大坊、怒りすぎやで。花ちゃんも頑張ってるがな」とおっしゃったのを制して、「師匠、お騒がせしてすいません。嫁はんが頑張ってるのはわかるんですけど、(鉄は)熱いうちに打たなあかんのですわ。いまが正念場やと思うんです」と真顔でご自分に言い聞かせるように言っておられたのが印象的でした。