五木ひろしの光と影<6>野口修は沢村忠と五木ひろし…ジャンル違いのスターを生み出した
「一回、ロカビリーのブームが終わって、低迷しているでしょう。だから、どんな小さい仕事でも受けようと思ったのよ。仕事は選ばない。だから今も、小さいイベントや発表会もなるべく受けることにしているわけ」
余談になるがこの頃、筆者が構成作家として加わっていた「5時に夢中!」(東京MX)の大晦日スピンオフ企画「おママ対抗歌合戦」に平尾昌晃が審査員として出演していたのも、この一連の取材がきっかけだった。
1970年のことである。マネジャーが平尾にこう言った。
「変な番組が始まるらしいですよ。素人が勝ち抜いて歌手デビュー出来るって企画なんですけど、売れない歌手が出てもいいそうです。その審査員ですけど、受けます?」「もちろん受けるよ。なんてタイトル?」「全日本歌謡選手権だそうです」
下積み歌手「三谷謙」の人生も、ここから一気に急旋回するのである。(つづく)