「昭和の女傑」細木数子さん逝く…“女ヤクザ”の激しき生涯、山口組最高幹部に原稿潰しを依頼
占術家の細木数子さんが、呼吸不全で8日に他界したことを、細木さんの娘(養女)で占術家の細木かおり(42)が10日、自身のインスタグラムで明らかにした。
ツーショットの写真とともに、「母・細木数子が呼吸不全で8日に満83歳で永眠しました。突然のことでした」と別れを嘆いた。
■「地獄に落ちるわよ!」
細木数子さんといえば、1986年から35年以上にわたり刊行された「細木数子 六星占術によるあなたの運命」シリーズが大ヒット。2012年に「占い本世界一」としてギネス記録に認定され、17年には累計発行部数1億部を超える記録となっていた。同時に、2000年代はテレビ番組「ズバリ言うわよ!」(TBS系)などに出演し、決めセリフ“地獄に落ちるわよ!”に代表される歯に衣着せぬ物言いで、大ブームとなった。当時、同書を発行していた版元の元社員はこう語る。
「社内では、毎年『細木担当』といわれる特命チームが組織され、印刷所、写植屋、カメラマン、ライターなど外部スタッフも含め、超厳戒態勢で制作がなされていました。校了後に写真の差し替えなどの指示もあり、毎年、バタバタでした。粗相を起こして自ら退社した人もいます。細木さんは、衣装から接待費まで数千万単位のお金がかかりましたが、当時はそれを補って余りある売り上げがあったんです。当時の社長のことも“ちゃん付け”。まさに『女帝』と呼ぶにふさわしい存在でした」
山口組最高幹部に“原稿潰し”を依頼
横綱朝青龍の現役時代はタニマチ的な存在で、我が世の春を謳歌していた細木さん。テレビ出演の効果は抜群で、お茶の間でも親しまれたが、かつては島倉千代子の後見人を務めたり、暴力団との関係が囁かれたりもするなど決して清廉潔白な道を歩んできたわけではない。そんな細木さんの“化けの皮”を剥いだのが作家の溝口敦氏だった。溝口氏は「週刊現代」06年5月20日号から「細木数子 魔女の履歴書」の連載をスタート。細木さんの虚飾にまみれた“黒い半生”をことごとく暴露した。
これに対し細木さんは、版元の講談社を相手取り6億円の損害賠償を求める訴訟を起こす。一番の争点は、細木サイドが山口組の最高幹部を使い、溝口氏に“原稿潰し”の依頼をしたかどうかだった。溝口氏が当時を述懐する。
■テレビをフル活用
「こちらはその後、事実関係を突きつけ、相手を追い詰め、観念した彼女はついに訴訟を取り下げたのですが、あれは彼女が番組を継続させ、世間を騒がせるための裁判の悪利用だったと思う。彼女は闇社会との深すぎる関係を持った“女ヤクザ”で、テレビをフル活用して占いで信者を集め、金儲けする虚業家だった。よくも悪くも、昭和を代表する“女傑”だったと言える」
公判中、細木さんは、08年3月に、すべてのレギュラー番組から降板し、テレビ界から姿を消した。表向きの理由は「来年から大殺界なので、テレビはすべてやめる」だった。その後、同年7月に訴訟を取り下げている。
「六星占術」はその後、養女に引き継がれ、引退後は悠々自適の生活を送っていたという細木さん。
昭和、平成、令和を生きた希代の“魔女”もついに鬼籍に入った。