海老蔵×キンコン西野「プペル」はまともな新作歌舞伎になっていた

公開日: 更新日:

 前半、抽象的と写実を混ぜ合わせて「護美人間」が生まれるところは、歌舞伎の技法でありながら、これまでの歌舞伎にはない表現で斬新。後半はドラマをしっかりと描く。

 原作とは芯の部分は同じだが、大胆に変えている。原作者自身の脚色なので、かえって遠慮なく変えられたのだろう。公演が発表になった際はどんなものができるのか危惧したが、まともな新作歌舞伎になっていた。

 歌舞伎座の正月公演はこれまで松本白鸚と中村吉右衛門が中心の座組みだったが、今年は2人とも出ない。白鸚は2月に「ラ・マンチャの男」のファイナルが控えているので、その稽古なのだろう。

 完全な代替わりの象徴が、第1部。「一條大蔵譚」は勘九郎が家の芸を、歌舞伎座で初めて演じた。「祝春元禄花見踊」は中村獅童の子、小川陽喜の初お目見えのためのもの。

 第2部は幹部役者による「三番叟」と「萬歳」のあと、松本幸四郎の「艪清の夢」。「仮名手本忠臣蔵」の五段目や「廓文章」などのパロディーがふんだんにある喜劇。話としては他愛もないものなので、いかに笑わせるが勝負で、幸四郎に向いているし、実際に好演。錦之助は気の毒な役ではあるが、しっかりと笑わせていた。コロナ禍でなければ客席ももっと沸いただろう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に