高橋一生「インビジブル」柴咲コウともに新境地、オリジナル脚本への期待が高まる
連続ドラマは初回が勝負だ。その初回も第1ブロックが決め手となる。どんな人物たちによる、どんな物語なのかを、魅力的に提示しなければならないからだ。その意味で、15日にスタートした「インビジブル」(TBS系)は見事だった。
冒頭はビルの屋上に立つキリコ(柴咲コウ)だ。渋谷駅前の交差点。路地で男をぶん殴る刑事の志村(高橋一生)。彼が容疑者を追って駅前に来た瞬間、いきなり大爆発。ビルのデジタル画面での犯行声明。その中で名指しされる志村。キリコの顔。志村の顔。そしてタイトルが出た。
ここまでが約7分。スピード感のある展開で興味をかき立てた後は、「犯罪コーディネーター」だというキリコの独壇場だ。志村も捜査陣もそして見る側もキリコに翻弄されていく。
駅前テロの真相をめぐって、キリコが志村に語りかける。
「あたしのいる裏の世界からあなたのいる表の世界をのぞくと、ふだん見えない悪がうっすらと透けて見えることがあるんだよ」
このドラマの核心ともいえるいいセリフだ。いずみ吉紘(日曜劇場「集団左遷!!」など)のオリジナル脚本への期待が高まる。
犯罪者を憎むあまり暴走も辞さない刑事が、意外なほど似合う高橋。キリコという一筋縄ではいかない犯罪者を、きっちりと造形する柴咲。どちらも新境地であり、見えない火花が散っている。