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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

綾瀬はるかと木村拓哉は惨敗か…ドラマに必要なのは「この先どうなるか」の期待感

公開日: 更新日:

 綾瀬はるか木村拓哉ドラマ界のエース級が主役を張った4月期ドラマ。

「どちらが視聴率を取るか」の前評判も早々に立ち消えた。2桁を割る回も出て、すでに高視聴率は望めそうもない現状だ。

故・野村克也氏の格言の一節「負けに不思議の負けなし」をドラマに当てはめれば、伸びなかった視聴率に不思議はなく、明確な理由がある。

 綾瀬の「元彼の遺言状」は3話目からは唐突に1話完結方式になった。綾瀬が推理を働かせ犯人を割り出すのだが、アリバイ崩しなどに説得力はない。刑事ドラマなどのキモは「誰が犯人だろう」と視聴者を引きつける要素にあるが、それが欠けている。

 木村の「未来への10カウント」は始まる前から先が透けて見えていた。今回はボクシングコーチになった“かっこいいキムタク”が最後まで続くのだろう。また従来のキムタクドラマに戻ってしまったようだ。

 今のドラマ界に名前だけで数字を取れる俳優はいない。やはりドラマは中身が一番。連ドラに必要な「次回はどうなるか」の要素が綾瀬・木村のドラマは薄い。対照的なのが二宮和也の「マイファミリー」だ。奇想天外な展開と「犯人は誰か?」と視聴者をうまくコントロールしている。私生活に合わせるように二宮の父親役も新しい一面を見せた。

 刑事物でなくとも朝ドラ人気が高いのは「この先、どうなるの」の関心の高さ。早く先が知りたくてネットの「ネタバレ」をのぞいてしまう人が出るのも関心度の高さの証明である。

NHKは若い女優に先見の明あり

 内容の次は主役と絡む脇のキャスティングだ。綾瀬も木村も実力と人気を兼ね備えた俳優を並べた。特に綾瀬は大泉洋を相手役にしたが、さほどの効果はないようだ。「綾瀬初の月9で、負けられないフジの焦りだったのでは」という声も聞こえてくる。その点、朝ドラのキャスティングは芸人の起用など、シリーズごとに工夫を凝らしている。今期の「ちむどんどん」では「この人は誰」と、いい意味で関心を持たれている脇役を揃えた。なかでも隠れた注目が戦隊物やライダー出身の女優だ。沖縄編で出演した松田るか、高田夏帆はライダー出身。工藤美桜は戦隊物。池間夏海は地元沖縄の特撮ドラマに出演していた経歴を持つ。

「4人ともまだ無名に近く出番も少ないが、いち早くライダー出身の若い女優に目をつけて起用するのがNHKの先見の明。まるで民放に“こういう女優もいますよ”と提示しているようだ」(テレビ関係者)

 他のドラマでも同じ現象が見られる。「やんごとなき一族」の、土屋太鳳をいびる義姉役の松本若菜も女優デビューは「仮面ライダー電王」。山下智久主演の「正直不動産」に出演の泉里香も女優デビューは「美少女戦士セーラームーン」だった。

 松本38歳、泉33歳。すでに実績もあり遅咲きの女優としてドラマ界の即戦力として期待されている。松本は低視聴率のドラマにあって唯一、「松本劇場」と言われるほど、いびり方が注目されている。22歳で鳥取から上京。30歳までバイトしていた苦労人だ。7月期のテレビ東京「復讐の未亡人」の主役が決定している。一方の泉は斎藤工と共演している「インディード」のコミカルなCMで話題の美女。満を持してドラマに出演。2人の共通点はクールビューティーな点で、松嶋菜々子米倉涼子の路線を継ぐ存在になりそうな雰囲気を持っている。 

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