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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

松村邦洋のイジメから逃れる手段がモノマネ界に革命を起こした

公開日: 更新日:

 高校に進学すると、いわゆる“不良”からのイジメが激化した。そこから意識をそらすため、「モノマネを磨くために高校に進学したのではないか」(朝日新聞社「withnews」21年3月31日)というくらいモノマネに没頭した。

 そんなある日、松村は「普段はいじめられっ子なのに、怖い先輩のモノマネをすると、いじめられっ子にも強くものを言える」ことに気づいた(同前)。例えば「金八先生」の加藤優のモノマネで「バカやってねぇで、真面目に働け」などと言って笑わせ、イジメを回避することができたのだ。

 大学に進学後、テレビ西日本でカメラのケーブルさばきのアルバイトを始めた。すると、1988年に「一億人のテレビ夢列島」(フジテレビ系)の中継で同局を訪れた片岡鶴太郎に「お前見たことあるぞ。たけしさんのモノマネうまいな」と声をかけられ、芸能界入り。実は松村は素人時代に「発表!日本ものまね大賞」(同前)に出演し、たけしらのモノマネでチャンピオンになっていたのだ。

 この番組での松村のモノマネは鶴太郎のみならずモノマネ界に激震を走らせた。それまでモノマネといえば“歌マネ”。芸人のしゃべり自体を題材にすることはなかった。つまり「芸人を題材にしたモノマネ」のルーツこそ松村邦洋だと、コージー冨田、原口あきまさ、ホリらは口をそろえる(「お笑い実力刃」=前出)。

 松村のイジメから逃れる手段がモノマネ界に革命を起こしたのだ。

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