アントニオ猪木は生涯200億円稼ぐも借金に追われていた こんなトリックスターはもう現れない
ビンタ1発100万円。「1・2・3・ダァーッ」も商標登録した。借金まみれの人生だったが、「話題になるため」だったら何でもやった。
アリ戦はもちろんだが、先の井上の本の中で、1983年にハルク・ホーガンにKO負けしたときの有名な「舌出し失神」は、自作自演だったと書いてある。担ぎ込まれた病院から夜中に抜け出したが、芸能マスコミが嗅ぎ回っているのを知り、慌てて病院へ舞い戻ったという。同じ本の中で、当時、結婚していた倍賞美津子がこう語っていたという。
「テレビより鏡を見ている時間のほうが多いですよ。まるで役者さんみたいね」
強いだけでは一番にはなれない。客をハラハラさせる演技力も必要だということを知っていたのだろう。
多くの女性と暮らした。フライデーが猪木と20代の女性が会っている写真を掲載したこともあって、倍賞とは離婚してしまったが、ずっと好きだったようだ。難病の「心アミロイドーシス」が最後の“死闘”相手だったが、無念にもKO負けしてしまった。 (文中敬称略)
(「週刊現代」「フライデー」元編集長・元木昌彦)