映画「葛城事件」が描き出す無差別殺人犯の発生原理と心理

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 さらに映画版は13年の舞台版脚本を全面的に改稿。秋葉原通り魔事件の犯人・加藤智大など、その後に起きた事件と、世界中で発生した同種の乱射事件をリサーチして取り込み、さらなる普遍性を追求したという。

「赤堀監督は、この一家と父親に起きた出来事は対岸の火事ではなく、われわれと同じ地続きにあると語っています。鬼気迫る演技を見せた三浦友和も同様の認識で役づくりに挑んだそうですが、確かにどこにでもいそうな父親のほんのわずかな身勝手さや横暴さが、閉じられた社会である家族の中で際限なく増幅して悲劇を生む展開は物凄い衝撃です。いつ、どこでまたこうした大量殺人が起きてもおかしくないと納得させられたばかりだっただけに、フロリダの事件を聞いたときには背筋がぞっとしました」(映画批評家の前田有一氏)

 繰り返される無差別殺人事件。イデオロギーでひとくくりにするのではなく、その原理と心理を理解する一助になりそうだ。

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