著者のコラム一覧
本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

抜擢したカメラマンたちは村西とおるの“サンドバッグ軍団”

公開日: 更新日:

 日比野正明は野田義治より15歳年下。1961年生まれの27歳。村西とおるのもとで助監督を務めてきた。当時、村西とおるは40歳、あらゆるものを燃やし尽くす火砕流のような時期であり、入社してきた助監督たちは半日で逃げ出した。指示通りできないと殴る蹴るは当たり前、AV撮影ではいきなり男優として起用させ、勃たないと鉄拳制裁。

 山奥のロケ地から夜中、25キロ先の駅まで逃亡した助監督、都内のスタジオから「たばこを買ってきます」と言い残し運転免許証の入ったリュックを残したまま逃亡した助監督。まさにブラック企業50社が束になっても勝てないのが村西とおる率いる撮影隊だった。殴られ蹴られる助監督チームはサンドバッグ軍団と呼ばれ、日比野正明はチーフになった。

 日比野青年の人生哀歌。

 岐阜県の進学校を出た日比野は、家業の自転車屋を継ぐ前に会社員生活をすごそうと、内装会社に入社したがそこがブラック企業だった。入社した高卒組100人は朝から晩まで倉庫で壁紙や材木運搬を任されて3年間で7割が退社した。高卒は兵隊要員として一生扱われることに気づいた日比野は、「週刊プレイボーイ」のグラビア水着を撮れるカメラマンになろうと、面識を持ったカメラマンに弟子入りした。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方