著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

人気絶頂期の自殺の取材や報道の仕方ほど難しいものはない

公開日: 更新日:

 1998年5月、人気ロックバンド「X JAPAN」のメンバーだったhideが自宅マンション寝室のドアノブに掛けたタオルで首を吊った状態で亡くなっていた(享年33)。謎めいた死も、「牽引(誰かにタオルを引っ張られた)にしては傷が小さい。『最近、音楽活動で悩み酒量が増えていた』と聞いており、突発的に死に踏み切ったのだと思う」と、警察は自殺と断定したが、音楽仲間は「遺書もない」「悩んでいる様子もなかった」と自殺を否定。一転、「故意による自殺」か「不慮の事故」で意見は割れた。

 四十九日も終わった梅雨明けの蒸し暑い日だった。改めてhideの両親の取材に出かけた。基地の街、横須賀駅から車で5分ほどの実家に昼近くに着いたが、あいにく留守。近所の人から「夕方はいるはずよ」と聞き待つことにしたが、4時間近くをどう潰すかが問題。取材では多々起きることだが、不思議なことに住宅街なのに近くにラブホテルがポツンと一軒あった。すでに汗だくだ。男1人で泊まれないのが原則だが、事情を話し休憩できたのは助かった。これも記者稼業ならではの貴重な思い出のひとつになっている。

 夕方になり改めて母親を取材したが、「事故死」を強調するだけだった。改めて思う。自殺の取材や報道の仕方ほど難しいものはないと。

(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に