元モデルの高級デリヘル嬢が売れっ子芸能人のセクハラを密告したワケ
沙希は芸能関係の仕事が激減している今、背に腹は代えられぬ理由で選んだ風俗の仕事で、よもやこんな罵声まで浴びせられるとは思いもしなかった。
「最低だな」
キャンペーンガールをしていたときに知り合ったカメラマンに愚痴ったらこう言った。しかし同情的な顔はしなかった。昼下がりのホテルのラウンジは静かで、気がつけばパパ活、ギャラ飲み事情に始まり、芸能界も政財界も、力のある男たちが裏でどんな振る舞いを女たちにしているかをしゃべっていた。
「高級デリヘルの客のタレントの話はすぐには記事にできないかもしれないけど」とカメラマンは言った。
愛人として囲われ、何年も体を弄んだ揚げ句、妊娠を機にそっぽを向いて、金で片づけようとしている政治関係者のネタは公にできそうだという。原稿料、取材協力料も出ると沙希は聞いたが、密会場所や今もやり放題の手口まで教えたのは、そんな最低なヤカラを放置して、自分のような被害者をこれ以上出したくないという義憤、なによりズタズタにされた女のプライドがあった。