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 先進医療といわれると、何か最先端の凄い治療法と思ってしまいます。確かに研究としては最先端に違いありません。しかし本当に効くかどうかは、人体実験を重ねて確認しなければなりません。その人体実験こそが、まさしく先進医療なのです。

 少し専門的な話になりますが、先進医療は第2項先進医療(先進医療A)と第3項先進医療(先進医療B)の2つに分かれています。用いる医薬品や医療機器がすでに薬事法上の承認を得ている場合は先進医療A、そうでない場合は先進医療Bという分類です。

 たとえば陽子線や重粒子線によるがん治療は、すでに治療装置が薬事審査をパスしているので、先進医療Aに分類されています。しかし、経済性も含めた治療効果がまだ十分に評価できていないことから、健康保険の対象にはなれず、先進医療として行われているのです。

 先進医療Bにはペプチドを用いたがんワクチン療法や、NKT細胞という特殊な免疫細胞を用いた肺がん治療法などが分類されています。がんワクチンもNKT細胞も、まだ薬事審査を通っていないからです。言い方を変えれば、これらの治療法は動物実験などで効果が確認されているものの、人間でどうなるかは、はっきり分かっていないということです。

 現在、先進医療Aには56種類、先進医療Bには39種類が登録されています。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

【連載】健康医療データの読み方

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