過剰摂取は健康に悪影響 「ビタミンD」はどう取るべきか
他にも、血液中のビタミンD濃度が低い人は、「心筋梗塞などの心疾患を発症するリスクが高い」「2型糖尿病の発症率がアップ」「うつ病の発症リスクが上昇する」といった研究報告がある。また、ビタミンDの不足は、がん、呼吸器疾患、自己免疫疾患などとも強く関係しているともいわれている。ビタミンDは、健康にとって重要なビタミンなのは間違いない。
■肝臓に蓄積
しかし、だからといってビタミンDを必死になって摂取するのは大間違いだ。県立広島大名誉教授で、東北女子大教授の加藤秀夫氏(時間栄養学)は言う。
「ビタミンDは水に溶けない脂溶性のビタミンなので、尿では体外に排出されません。そのため、過剰に摂取すると肝臓に蓄積して悪影響を与える可能性があります。また、ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を一定に保つ働きがある。ビタミンDだけが過剰になってカルシウムが足りていないと、骨を溶かしてカルシウムを動員し、濃度を一定に保とうとします。これが長期間続くと、骨が強くなるどころかスカスカになってしまうのです」
ビタミンDの過剰摂取によって血液中のカルシウム濃度が上昇すると、心臓、肺、胃、腎臓、血管、筋肉などに、カルシウムが沈着しやすくなる。腎臓に付着すると石灰化して腎結石ができてしまったり、腎機能が障害を起こし、腎不全になるケースもある。腎臓に蓄積したカルシウムの影響で血液の濾過ができなくなり、尿毒症を招いて命に関わることもある。