“自覚なし”だからこそ危険 「慢性腎臓病」はこんなに怖い
糸球体は「血液から老廃物を濾過して尿を作る」腎臓の働きに欠かせない組織だ。糸球体の破壊によって、尿中にタンパクが漏れるようになったり、腎機能が落ちていったりし、慢性腎臓病と呼ばれる状態に至る。そうなると自分の腎臓だけでは老廃物の濾過ができなくなり、その働きを代替する人工透析が必要になってしまうのだ。
■人工透析へ一直線のデッドライン
「人工透析が必要な直前まで自覚症状がまったくない人もいます。むくみ、息切れなどの症状が出てきた時は腎機能が相当落ちていると考えた方がいい場合もあります」
壊れた糸球体は元に戻らないので、慢性腎臓病を完治させる方法はない。人工透析になると、週3回通院して行う血液透析や、在宅で行う腹膜透析を一生続けるか、健康な腎臓を移植する腎移植しかない。「人工透析で腎臓が健康になって元通りの生活に」とはならないのだ。
「慢性腎臓病で最も重要なのは、早い段階で腎機能低下に気づき、生活習慣を変えるとともに、薬物治療などでこれ以上、機能が落ちないようにすることなのです」