70歳以上の5人に1人が…「新型栄養失調」はどう防ぐ
栄養失調になる人が増えている――戦後すぐの話ではない。ここ数年のことだ。女子栄養大学栄養学部の浅尾貴子助教はこう説明する。
「3食しっかり食べているのに、栄養が足りない“低栄養”の状態に陥ることを『新型栄養失調』と言います。厚生労働省の調べでは、70歳以上の5人に1人が該当するとしています」
この飽食の時代に、なぜ栄養失調なのか。浅尾氏は、その理由を「バランスの悪さ」だとする。つまり、高齢者は健康を気にしたり、食が細くなったりして、肉や卵を控える傾向にあるが、それが過ぎると体に必要なタンパク質が十分に取れなくなり、結果的に栄養が不足する。
さらに、高齢者は消化吸収能力が落ちるため、食べ物を効率的にエネルギーに変えることができない。“年寄りだからあまり食べなくていい”という考えが、栄養のデフレスパイラルを引き起こすのだ。
もっとも、新型栄養失調は高齢者だけの問題ではない。
「近ごろは40代や50代の働き盛りにも増えています。高齢者とは違い、タンパク質はしっかり取っているのですが、今度は野菜や果物などが足りない。野菜や果物に含まれるビタミンやミネラルは、タンパク質をエネルギーとして活用するのに欠かせません」