バランスの良い食事で長生きできるは本当か
厚労省、農水省が策定している「食事バランスガイド」というものがあります。これは主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果実の5つのカテゴリーについて、一日にどれくらい摂取するのが望ましいのか、わかりやすくまとめたもの。2005年6月に策定されました。ただ、このような食事ガイドに従った食生活で本当に健康になり、寿命が延びるのでしょうか。
2016年3月22日付の「英国医師会誌」電子版に、「食事バランスガイド」をしっかり守った食生活と死亡リスクの関連を検討した論文が掲載されました。
この研究は、心臓病やがん、脳卒中などを起こしたことがない45~75歳の日本人7万9594人が対象となりました。アンケート調査に基づき、食事バランスガイドの順守状況を70点満点で評価(点数が高いほど順守している)し、その点数により順守レベルが低いグループから高いグループまで4グループに分け、約15年間追跡調査しています。年齢や性別、喫煙状況など結果に影響を与えうる因子で調整を行い、死亡リスクを検討しました。
その結果、一番順守レベルが低かったグループに比べて、一番順守レベルが高かったグループでは死亡のリスクが15%、心臓病による死亡が16%、脳卒中による死亡が22%、統計的にも有意に低下することが示されました。
つまり、食事バランスガイドに従った食生活は死亡のリスクを低下させることが示されています。食習慣に気をつけている人はもともと健康意識が高い可能性があるわけですが、食事バランスの適正化が、健康的な生活維持に重要な要素である可能性を示唆した貴重な論文といえそうです。