台風後に風邪症状が出たら「人獣共通感染症」の疑いあり
■妊婦は流産のリスクが高く
あまり聞きなれない病名だが、4年前の九州北部豪雨の被災地でも最も警戒すべき感染症として国立感染症研究所が挙げた病気だ。
感染すると発熱や頭痛、激しい筋肉痛に襲われる。数日後に目がうさぎの目のように充血し、嘔吐する。その後、いったん熱は治まるが、再び上昇。まれに頭痛を伴う髄膜炎、意識の混濁や昏睡を起こすケースも。肝炎や腎炎、肺炎によって、黄疸や腎不全、血の混じった咳が出ることもある。妊婦がかかると流産のリスクがある。
海外では東南アジアなどを中心に洪水の後に大発生した例がいくつも報告されているが、日本でも台風や大雨後にレプトスピラ症が広まった地域がある。2004年の愛媛県、06年の宮崎県、11年の三重県、高知県などだ。いずれも、野生動物や家畜、ペットなどのふんが混じった汚水が河川に流れ込み、それに触れた人々が感染したと考えられている。
宮崎県の場合、確認された患者数は8人だったが、病気の80%は軽い症状で治るため、病院に行かない人も多い。実際の患者数はさらに多かったとみられている。