命を脅かすことも…間違いだらけの「心不全治療」
機械的補助の方法はいくつかあるが、日本では大抵の病院にあり速やかに使えるのが「PCPS(経皮的心肺補助法)」。この機械を血管に挿入して心臓の働きを補う。しかし、長期的には使えないため、数日程度でPCPSの挿入を外せなければ、補助人工心臓へ切り替える。
(3)年2回以上の心不全入院に要注意
前述の通り、難治性心不全の段階になれば、心移植、あるいは補助人工心臓しか手がない。
「しかし、申し込みにはさまざまな手続きが必要とされ、急いでやっても1カ月はかかります。この手続きに手間取っている間に患者さんの容体が悪くなり、補助人工心臓が間に合わなかったケースもあるのです」
だから主治医は、患者が難治性心不全の段階ではないかどうかを的確に判断しなくてはならない。その指標として、最も注意すべきポイントが「1年間に2回以上の心不全入院」だ。
「2回以上は尋常ではない。治療が行き詰まっている、つまり難治性心不全だと認識すべきです」
ここまでに挙げた(1)~(3)について、「循環器内科医ならば知っているはず」と思うかもしれない。しかし、絹川教授は疑問を投げかける。