現役おくりびとに聞く「現代の死」 増える直葬に違和感
「父の姿を見ていて幼少の時期から納棺の職に憧れ、敬意を抱き、大学卒業後にこの道を選択しました」
葬儀社などから「納棺師」の依頼がある一方で、木村氏は韓国、中国、台湾などからの要請で、「納棺」の技術指導を行ってきた。4年前には「㈱おくりびとアカデミー」(本社=東京・日本橋)を設立している。
業種を大きく2つに分け、1つは納棺師の養成学校、もう1つは3年前に設立した納棺師を実際に派遣する「ディパーチャーズ・ジャパン㈱」(本社=同)である。
札幌、静岡、新潟、愛知などに7店舗を擁し、この春には都内にもオープンするなど、経営は順調な滑り出しだ。
「ご遺体は病院、自宅、老後施設、警察署、それに大使館を経由して飛行場でも受け取ることがあります」と語る木村氏は近年、少しずつ増える傾向にある「直葬」について、若干の違和感を抱いている。
直葬とは、亡くなった場所(病院や自宅など)から直接火葬場に搬送される簡素化された葬儀。親族や友人らが参列する「お通夜」の類いをカットする。表現が悪いが、死んだら死亡診断書を受け取り、すぐに焼いてしまうという葬儀だ。葬儀費用の節約や、核家族などの反映で、親戚付き合いにも大きな変化が起こっているのも確かである。