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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

急性骨髄性白血病 65歳未満の若年者5割が治癒する

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 白血病の原因としては、放射線被曝やベンゼンの曝露などが知られていますが、多くの患者さんでは不明です。急性白血病は若い方にも見られ、主に「骨髄球性」と「リンパ球性」があります。Yさんのように、多くは高熱、貧血、出血しやすいなどの症状で発症します。

 正常な白血球は、細菌から身を守るなどの自衛隊的な役割があります。しかし、その白血球ががん化してしまうため、外敵から身を守れなくなって敗血症を起こし、それが死因となることが少なくありません。また、骨髄は白血病細胞でいっぱいになるため、赤血球や血小板がつくれなくなって高度の貧血や出血を来し、重篤な状態となります。

 治療は、赤血球、血小板輸血を行いながら、抗がん剤で白血病細胞を徹底的に死滅させ、正常細胞の回復を待ちます。その間は白血球数がほとんどゼロの日々となりますから、いつ敗血症で重篤になるかわかりません。

 数時間後でも状態が急転する可能性があるので、スタッフも緊張の連続です。

 時々、骨髄穿刺により骨髄の状態を見る検査を行います。担当医は顕微鏡で骨髄像をのぞく時、祈るような気持ちになります。白血病細胞がなくなっている時はホッとして、「あと少し頑張れば正常細胞が出てくる」と思います。逆に白血病細胞がたくさん残っていると、「あんなに頑張ってきたのに……」と愕然とします。この時は、他の抗がん剤に替えて治療のやり直しとなります。

 他のがんでも同様ですが、寛解に入った時は、患者さん、家族、そして医療スタッフの皆が「一緒に頑張ってきてよかった」と心から喜べる瞬間です。外科で難しい手術が成功した時と同じかもしれません。

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