「効かなくなったら抗がん剤は中止する」そんな文書に落ち込む患者もいる
「抗がん剤が効かなくなって、病院としては早く退院させたいでしょうに……。サインした文書のプランに合わない患者で、先生はきっと困っているのだと思います。病院の皆さんにも嫌われているに違いありません」
■「患者中心の医療」と言いながら
最近は「元気な時に自分の最期をどう生きるか、どう生きたいかを考えておく。自分の病気を十分理解し、最期のプランを作成して文書で周囲に意思を表明しておく」といったことが推奨されています。作成した文書については「何回でも相談できるし、いつでも撤回できる」と言われますが、サインしたその時はそれでよいと思っても、死など誰も経験したことはないのですから、後になって気持ちに変化が表れるのは当然です。
こうしたプランの文書にサインしておくのは、医療者や家族が困らないようにするためです。たとえば、急に意識がなくなって、あるいは認知症になって意思決定が出来なくなる……。
そんな万が一が起こった時のため、それはそれで大切なことだとは思うのです。