<13>施設に入れるということは、父の命を預けるということ
今後の医療は施設が主体となり、必要な時にその都度適切な処置を行うことになる。一瞬「知らぬ間に医療費がかさむなんてことにならないか」と不安になるが、入所時にサインする膨大な量の契約書を見て腑(ふ)に落ちた。
要は施設に入れるということは、父の命を預けることだ。いつ死んでもおかしくない老人を24時間365日預かるわけだから、家族もある程度の覚悟と諦めが必要なのだ。
契約書に並ぶ文言を見たとき、急に「父が死に近づいている」と、自覚させられた。