ズブ濡れでクーラーは危険 真夏の「低体温症」は命も奪う
体内の熱産生が追い付かず、深部体温が32度以下へと低下すると中等度の低体温症で体の震えは止まるが、今度は意識障害からもうろうとなり、支離滅裂なことを言い始めたり、他人の呼び声に反応しなくなる。
さらに28度以下の重症となると半昏睡状態に陥り、脈拍は微弱となる。そして心停止に至ることもある。
■都会でも発症する
とはいえ真夏の低体温症はせいぜい肌寒い山や高原で起きる病気で、都会では無縁と思う人もいるかもしれない。しかし、それも思い込みに過ぎない。2013年7月、東京・港区の秩父宮ラグビー場で開かれた男性アイドルグループ「NEWS」の野外コンサートが豪雨で中止になった際、手当てを受けた75人の中に多くの低体温症患者がいたことが報じられている。「北品川藤クリニック」(東京・北品川)の石原藤樹院長が言う。
「花火大会やスポーツ観戦、野外コンサートなど、大勢の人々に囲まれて身動きが取れず風雨に打たれるしかない、うまく雨宿りできてもクーラーががんがん効いていて寒けを感じたなど、低体温症は本人や周囲がそうと認識していないだけで真夏の都会でも発症している可能性があります。お祭りなどで水をかけられ、ズブ濡れのままクーラーなどにあたり寒けを感じて震えている人や、プールなどでの水遊びで唇が紫色に変わり体がブルブルと震えている子供は、低体温症の状態かもしれません」