筋ジストロフィーの小澤綾子さん「歌うことが生きる力に」
復活のきっかけをくれたのはリハビリの先生です。体のストレッチだけじゃなく、同じ病気でも頑張っている人のことや、前向きに生きる大切さを話してくれました。それでも私が「どうせ治らないのに」と、あまりに後ろ向きな態度を続けていると、ある日「そうやってずっと下を向いて生きていくつもり? そんなあなたには誰も近寄らない。一人で寂しく死ぬんだね」とキレたのです。
私は「なんてことを言うんだろう?」と憤慨しました。と同時に負けず嫌いに火がつき「この先生に“すごい”と言わせたい」と思ったんです。以後、スキューバダイビングの資格を取ったり、海外旅行、語学留学など、前向きな挑戦を毎回報告しました。先生からは「海外へ行けばいいってものじゃない」などとなかなか褒めてもらえませんでしたけど、行動を広げたことで同病の友人が増え、徐々に明るさを取り戻しました。
■人はどんな状態でも何でもできると教えられた
極め付きは「歌」です。同じ病気で30年間寝たきりの友人が、私に「ボクの歌を君に歌ってほしい」と言ってくれたことが大きな転機になりました。CDをリリースし、仲間内の趣味だった歌が今は公の活動になったのです。