中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

輪島さんは手術で声失う…咽頭がんの早期発見は胃カメラで

公開日: 更新日:

 飲酒については、週1回以上飲む人は、飲まない人に比べて咽頭がんの罹患リスクが1.8倍。アルコール換算で週に300グラム、1日平均日本酒4合以上だと、3.2倍です。適量飲酒のリスクはそれほどでなくても、常用するリスクは高い。飲酒も下咽頭への影響が強く、週1回の飲酒で3.3倍、週300グラム以上のアルコール摂取で10倍超にアップします。

 下咽頭がんになると、25~30%の確率で食道がんも発生。これは転移ではなく、別のがんです。どちらも飲酒と喫煙の影響を受けやすいがんであることがその要因と考えられます。特に危ないのは、もともとお酒が弱かったのに、飲むにつれて飲めるようになった人。赤ら顔になりやすいタイプに重複しやすいことが分かってきたのです。

 もうひとつ、見逃せないのがセックスの影響でしょう。頻繁にオーラルセックスを行うと、HPVというウイルスが咽頭に感染し、がん化する恐れがあるのです。特に中咽頭がんのうち半分は、HPV感染が原因とみられています。

 喉頭がんは早くから声がかれやすいのですが、咽頭がんは進行しないと症状が出ません。声がかれるのは進行時で、ほかに嚥下時の異物感や耳の痛みが表れます。耳の痛みは中耳炎にでもなったかと思うような強さですから見逃さないでしょうが……。

 では、早期発見のカギは何かというと、胃カメラです。適量飲酒や禁煙に努めるのはもちろんですが、検診などで定期的に胃カメラを受けている人は事前に「咽頭も診てほしい」と伝えること。それが肝心です。

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