声帯ポリープが…手術前に受けるべき「声の衛生教育」とは
カラオケでよく熱唱する人、大声で話すことが多い人、ほこりっぽい場所に頻繁にいる人などにできやすいのが、声帯ポリープだ。がんと間違われやすく、手術を勧められがちだが、国立病院機構東京医療センター感覚器センター(耳鼻咽喉科学)の角田晃一医師は“待った”をかける。
「声帯ポリープは命に関わらない良性病変です。それなのに、全身麻酔をかけて行う手術は患者さんの体に負担をかけます。医療費の負担増にもつながる。そこで手術に先立ち私が勧めるのが、『声の衛生教育』なのです」(角田医師=以下同)
声の衛生教育とは、健康な声を保つ適切な教育のこと。「叫んだり怒鳴ったり大声で笑うことを避ける」「裏声で話したり、無理な高さでの発声や無理な歌唱、ささやき声を避ける」「咳払い、空咳は必要最小限にとどめる」「冷たい空気や乾燥した空気の場所は避ける」などだ。
声帯ポリープが見つかった場合、欧米では主に言語聴覚士が患者にまず声の衛生教育を行い、声帯ポリープが消えるようにする。
一方、日本では声の衛生教育について賛否両論だ。手間がかかることもあり、「そんなことをしなくても手術で取ってしまえばいい」と考える医師も少なくない。言語聴覚士が十分にいないという問題点もある。