梅毒<2>見落とされがち 正確な診断には正直な告白が不可欠
30代男性で受診の3日前に、ピンクサロンでオーラルセックスのサービスを受けた。そして、尿道口から黄色い膿(うみ)が出てきたことから受診。最初は「淋菌性尿道炎」と診断がついた。ところが性器診察時の問診で、さらに約3週間前にソープランドで腟性交とオーラルセックスをしていたことが判明した。
「それで患者さんの尿道口を開いてみたら、尿道粘膜に潰瘍が見つかりました。実は、淋病にかかる前に梅毒に感染していたのです。ピンクサロンで淋病にかかっていなければ、本人は梅毒の感染には気づいていません。診療経験の豊富な専門医でないと、このようなケースでは梅毒は見逃されてしまうでしょう」
さらに、この患者の喉を調べると淋菌が検出され「淋菌性咽頭炎」にもなっていた。咽頭に自覚症状はなく、発赤やへんとうの腫れなどの所見もなかった。性感染症は重複感染が少なくないので要注意という。また、梅毒は性器以外の皮膚や粘膜の傷口からも感染する。頻度は2~3%以下と低いが、口唇、手指、乳頭などに潰瘍ができる場合がある。
国内の梅毒の急増を受け、厚労省は今年から医師の届け出内容を変更し、患者の性風俗の利用歴や従事歴を加えるという。
次回は、梅毒の早期第1期に続く、「早期第2期」「後期梅毒(第3期)」の症状を取り上げる。