医療者にすべてお任せするのではなく「賢い患者」になろう
前回も紹介しましたが、辻本さんは乳がんと胃がんを患いました。胃がんとがん性腹膜炎が進行した時、「私はがんばりたい。私は最期まで治療を受けて、望みを捨てたくない」と最期まで闘いました。
2011年5月、私がCOMLを訪れた際、辻本さんは食事が取れず、中心静脈栄養で車いすに乗って笑顔で迎えてくれました。その時、そばにいたのが山口育子さんです。25歳を目前に卵巣がんを発症し、1年半に及ぶ抗がん剤治療の中で、医療現場におけるコミュニケーションと患者の意識変革の必要性を痛感したことがCOMLとの出合いにつながったそうです。
山口さんは、一生懸命に辻本さんをサポートされてきました。辻本さんが胃がんになってからも、彼女の慈愛、強さ、ひたむきな姿勢で、一緒になってがんと闘ってきたように思います。しかも、私がCOMLを訪れたその時、なんと山口さんは2回目の卵巣がんが分かり、手術が予定されていたのです。
山口さんは、それからも見事に立ち直り、11年6月からCOMLの理事長となって辻本さんの後を継がれました。20年間、辻本さんとの密度の濃い二人三脚だったといいます。