がんゲノム医療 保険適用された遺伝子パネル検査が本格始動
「保険診療でパネル検査を行う場合、どちらを使うかは基本的には主治医の判断です。違いをいえば、NCCオンコパネルは正常細胞とがん細胞の両方を比較して厳密にがんによる遺伝子変異を調べます。一方、ファウンデーションワンはがん細胞の遺伝子変異しか調べませんが調べる遺伝子数が多く、グローバルスタンダードの検査法です。ただ、国内で使える薬(承認薬)の数からいえば、保険診療なら114種類の遺伝子を調べるだけで十分とされています」
確かに「次世代シーケンサー」という一度に多くの遺伝子異常を調べられる解析装置が開発されたことで、パネル検査の実施が可能になった。しかし、この検査技術の進歩に治療薬の開発が追いついていないのが現状だ。パネル検査で遺伝子異常が見つかっても、最終的に治療薬にたどりつくのはごく一部の患者とされている。
順天堂大学では2016年から、米国で開発された468種類の遺伝子を調べる「MSK―インパクト」というパネル検査を自由診療(60万~70万円)で実施してきた。そのパネル検査の海外の1万人データ(17年)によると、治療薬にたどりついたのは38%。そのうち承認薬が7%、適応外使用の薬が11%、治験中の薬が18%とされる。順天堂大学が60人に実施したうち治療薬が見つかったのは2人。うち1人は米国の拡大治験に参加、1人は自由診療で治療を受けている。