【末梢動脈疾患】クーラーで体より足が冷たくなる人は危険
「糖尿病患者では、血糖が上昇しているために血液の浸透圧が高くなり、周囲の細胞から水分を引き込みます。体内の水分量は足りていても脱水様の症状が引き起こされます。これに猛暑による脱水が加わると、血液はドロドロになり、血小板が活性化して血が固まり始めます(血栓)。これに赤血球などがくっつくと、血栓の成長により血管が詰まりやすくなる。猛暑での高温や日射のストレスにより、糖尿病が悪化する悪循環に陥りやすいのです」
■糖尿病なら足切断リスクが上がる
とはいえ、手足などの細い血管が詰まるくらいで脳卒中や心筋梗塞に関係するのか? と不思議に思うかもしれない。しかし、PADは脳卒中や心筋梗塞の前兆であることは多くの疫学研究が示している。
例えば、7万人を対象にした国際的な研究ではPAD患者の50%が冠動脈疾患、25%が脳血管疾患にかかっていた。
PADの重症度は4つに分類される。Ⅰ度は無症状、Ⅱ度は歩くと痛みが出る、Ⅲ度は安静時でも痛い、Ⅳ度は潰瘍・壊死が起こる、だ。Ⅲ度以上では1年後の足の切断リスクは30%ともいわれている。