著者のコラム一覧
江部康二高雄病院理事長

1950年、京都府生まれ。京都大学医学部卒。高雄病院理事長(内科医、漢方医)。日本糖質制限医療推進協会代表理事。近著に「内臓脂肪がストンと落ちる食事術」(ダイヤモンド社)がある。

1日3食は根拠なし?「朝食を抜くと体に悪い」は本当なのか

公開日: 更新日:

 糖質を取らなければ脳に栄養が行かなくなり、きちんと働かないのでは?

「脳のエネルギーが糖質(ブドウ糖)だけというのは明らかな間違いです。脳をつくっている神経細胞は、糖質だけでなく脂質脂肪酸)から生じるケトン体という物質もエネルギー源にしています。ケトン体は糖質制限をすると増えていきますし、そのケトン体が脳のエネルギー源になる。そもそも糖質制限をしても、肝臓でタンパク質(アミノ酸)などからブドウ糖をつくる糖新生という作用によって血糖の値は正常に保たれます。新生児も、脳の重要なエネルギー源としてケトン体が使われることが分かっています。もし、糖質制限をして頭がぼーっとするとしたら、糖質と同時にカロリー制限などをしていることで生じるエネルギー不足になっていることが原因です」

 カロリーは気にしなくていいとのことだが、脂肪の取り過ぎで肥満にならないのか。

「脂質は取っても、そのまま体脂肪にはなりません。肉の脂肪は体に悪いというのも誤解です。肉の脂には飽和脂肪酸と呼ばれる脂質が多く含まれていますが、これまでその取り過ぎは脳心血管疾患のリスクだと考えられてきました。ところが、アメリカの論文によると、35万人を5~23年間にわたって追跡した結果、飽和脂肪酸と脳心血管疾患の発生率には関連がなかった。コレステロールを多く含む卵にしても、糖質がほぼゼロでタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルがバランス良く含まれていますので、1日2個でも3個でもOKです。コレステロールに関して食事から取ったものは、長期的には血液中のコレステロール値に影響を与えません。そして、コレステロールは悪玉ではなく、細胞膜の原料になるなど、体に必須の栄養素なのです」

(構成=中森勇人)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」