中高年「偽関節」リスク 家庭での“足をゴン”は甘く見ない

公開日: 更新日:

「一般的に中高年の骨折は若い頃と違って治りにくいとされます。それは骨が弱いうえに折れた骨を修復する力も弱くなるためです。Aさんも『年のせいで治りが遅いのか』と思っていたそうですが、骨折治療に必要とされる期間が過ぎても骨がくっつかない。改めて検査をしたところ『偽関節』だったことがわかったのです」

 治りづらい骨折は骨折全体の8~10%程度あるといわれ、偽関節はそのひとつ。折れた骨がグラグラしてくっつかずに動いている状態を言う。皮膚から骨が飛び出す開放骨折は細菌感染が起きやすく回復に必要な仮骨ができにくいため、偽関節リスクが高いといわれるが、喫煙、糖尿病、栄養不足もそのリスク要因だとされる。

 そもそも折れた骨がくっつくのは、骨折後、破骨細胞によって不要なものが始末され、骨芽細胞によって新たな骨ができるからだ。

「骨が折れると骨組織が破壊されて骨を覆っている骨膜が切れ、血管も切断されて骨折によって生じた間隙に血腫ができます。この時期は炎症期と呼ばれ、炎症が起きて痛みがあります。ギプスなどで固定してしばらく経つと、骨折した場所に周囲から幼若結合組織細胞が入ってきて骨髄に肉芽組織が形成され、切れてしまった毛細血管も新たに作られて、壊死した細胞が吸収されていきます。やがて軟骨が徐々に形成されて骨折した骨と骨がくっつきます。これを仮骨といいます。この段階が修復期です。仮骨は時間が経つと強度を増し不要なものは破骨細胞により吸収され、骨芽細胞によって新たな骨が形成され(再造成期)、骨は元に戻るのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」