血液と「貧血」<3>高齢者は食べても鉄欠乏性貧血を起こしやすい
まず栄養障害、慢性腎臓病(腎不全)、慢性炎症、消化器のがんや、MDS(骨髄異形成症候群)などが代表的なものでしょう。
そのうち、身近な栄養障害について詳しく言いますと、高齢者は食べても、栄養分の吸収が悪くなることが第一の原因です。栄養障害は血液中のアルブミン濃度が低いことで分かりますが、鉄やビタミンが容易に欠乏するので、鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血(ビタミンB12不足)を起こしてしまうのです。
さらに、高齢者は足と同様に歯も悪くなっていますので、食事摂取量が不十分なことも貧血の要因となります。
特に一人で暮らしている独居高齢者は、食事を作ることが面倒であったりして、日々の食事量が少なくなっています。
特例ですが、胃腸の病気で腸や胃を切除されている高齢者もおられます。
このような人では、ビタミンB12(動物性食品)や鉄分の吸収が悪くなります。
注意したいのは、心不全に貧血が合併するケースがしばしば見られることです。さらに腎不全を伴うこともあります。
高齢者の貧血はこのように、複数の要因が関係していることが多いのです。血液検査で貧血以外に白血球、血小板に異常があれば、血液などの病気も疑うことが肝要です。